七夕とそれに影響した日本の「禊の風習」には、水を使った行事が多くあります。七夕の由来となった「星祭」では、たらいの水に夜空の星を映し眺めたりしますし、七夕飾りの短冊には、芋の葉の露の水で溶いた墨で願い事を書いたりします。七夕に影響した日本の風習の中にも水で髪を洗ったりする行事などがあり水が重要な位置を占めているようです。
日本各地さまざまな「禊の風習」
近畿地方の七夕の風習
近畿地方の一部の地域では、七夕の日を「なぬかぼし」と呼んで仏壇などの仏具を掃除や墓の草むしりなどをする風習があります。
また、新生児が生まれているご家庭の場合、七夕の日に母親側の実家から夏着を贈ってくる風習なども残っているそうです。
東北地方の七夕の風習
東北地方の一部の地域では、七夕の日を「なぬかび」と呼んで水で洗うとよく汚れが落ちる日とされています。
このため、墓や井戸などの外回りから金物、女性の髪までも洗い清めるご家庭もあるようです。
関東から北陸と東北一部までの七夕の風習
関東から北陸と東北一部までの広い地域で、真菰という植物の葉で作られた七夕馬を作る風習が残っている場所があるそうです。
七夕馬とお盆の精霊馬と同じように祖先の霊をお迎えするための物ですが、七夕の星の祭りが影響し始めると別々に作られるようになったと考えられています。
また、七夕の人形をつるして飾る地域もあり、長野県松本市の七夕人形のつるしは、特に大きく有名です。
眠り流し
七夕の由来の一つものされている「眠り流し」は、地方によって「ねぶた流し」、「なぶと流し」、「なむた流し」などと呼ばれています。
燈籠などをねむの木などに乗せて川に流すという風習です。
紙で作った人形なども一緒に乗せて流す地域もあり、七夕飾りの紙子に通じるところがあるとも言われています。
眠り流しの「眠り」には、田んぼなどの草取りなどの忙しさからくる疲れやこの時期の蒸し暑さからくる睡魔を意味し、「流し」でこれを防ぐという意味があるとされています。
さまざまな眠り流しのお祭り
眠り流しのお祭りには、夏の病魔やお盆を前にして穢れをはらうといった意味合いがありますが、これにその地方の言い伝えや伝説が加わり多様な行事となっています。
青森のねぶた祭り
無数の燈籠が、美しく辺りを照らし、巨大で勇壮な武者人形が練り歩く青森のねぶた祭りは、眠り流しのお祭りの中でも特に有名です。
このねぶたの飾りには、2種類あります。
一つは、「扇燈籠」で名前のとおり扇型の燈籠です。けんかねぶたの異名もとっています。昔は、実際に血みどろの喧嘩にも発展していたようですが、現在では、そのようなことはないようです。
もう一つは、「組ねぶた」で、歴史上の有名な武将や人物などの張り子で作った人形です。
張り子の中から灯りをともし、夜の闇に浮かびあがる武者人形はなんとも壮観です。
この組ねぶたの大きな武者人形の由来として伝えられている伝説があります。
「時は平安時代、朝廷と東北は陸奥の国では、蝦夷との戦いが激化の一途をたどっていました。
そこで朝廷は、坂上田村麻呂という人物を征夷大将軍に立て蝦夷討伐に向わせました。
そこに立ちはだかった津軽に住む蝦夷の勇将のひとりに大丈丸という人いました。
岩木山に立てこもって頑強に抵抗し、さんざんに官軍を苦しめたそうです。
そこで一計を案じた坂上田村麻呂は、大きく美しい人形を作らせ、その中に兵隊の隠れさせ川に流しました。
面白可笑しくはやしたてながら川を流れ下る大きな人形に気を取られ大丈丸は姿を現します。
そこを人形の中から躍り出た兵士が大丈丸を捕え、北海道の方へ流してしまった。」
という伝説です。
ここにも水や人形など七夕とのつながりが感じられます。
秋田の四十八竿燈
秋田の四十八竿燈は、大きなもので高さが約7メートル30㎝、重さが37キロ以上にもなります。
この竿燈を腰や額などに乗せ手を放して技を競います。
沢山の灯を照らす竿燈が、連なるさまはなんとも幻想的な光景です。
姉妹サイトの「折り紙で楽しむ不思議生活のススメ」のご紹介
七夕の飾りは、折り紙などで作られることが多いのですが、その折り方や意味などご紹介する情報が多いので、姉妹サイトの「折り紙で楽しむ不思議生活のススメ」の「七夕の折り紙の折り方と飾り方」の記事にまとめてあります。
七夕の飾りを飾り始める日や飾りを終える日なども併せて掲載していますので、ご覧くださいませ。